カタン島の歩き方
カプコン「カタン」大研究

AGマガジン２号

カプコンから発売中のボードゲーム『カタン』は架空の島を舞台に進行する開拓と交易のゲームだ。最初に発売されたドイツでは、優れたゲーム、斬新なゲームに贈られる Spiel des Jahles などの名誉ある賞を受賞し、発売以来世界で250万個（シリーズ累計500万セット）の売り上げを誇る、傑作ボードゲームだ。その『カタン』がカプコンから全国発売された。今回はその『カタン』をより楽しむための作戦をお教えしよう！

『カタン』ってどんなゲーム？

時は大航海時代。新しい島（カタン）が発見された。この未開の土地をうまく開拓してゆくのがゲームの目的だ。土地から採れる資源を使って、家、街や道路を整備するなどして、その得点を争う。簡単なルールであるにもかかわらず多彩な展開が楽しめるゲームだ。

土地
『カタン』の基本が土地。土地の数字と同じ目が出れば、資源が産出する。その土地に隣接した「家」ごとに1枚、「街」なら2枚の資源カードが、建物のオーナーに配られる。

資源カード
「土地」から産出する資源を表すカード。これを使って「開拓」を行ない、あるいはチャンスカードと交換し、あるいはトレード（貿易、交換、交渉）を行なう。

チャンスカード
「羊」「麦」「鉄」各1枚で交換できる。盗賊を好きな土地に移動させることができる「ソルジャーカード」、そのまま勝利ポイントになるカードなどがある。

「賞」
最も長く「道」をつなげたプレイヤーに贈られる「ロンゲストロード」と、最も多くの「ソルジャーカード」を使ったプレイヤーに贈られる「ラージェストアーミー」の2つがある。

開拓
「家」「道」「街」を建設すること。（「街」は「家」をアップグレードする）。それぞれ決められた「資源カード」を消費する。勝利ポイントに直結した、プレイングの基本。

盗賊
サイの目が「7」なら、手に8枚以上の資源カードを持っているプレイヤーはバーストといって、カードの半分を捨てなければならず、「盗賊」のいる土地からは資源が産出しない。

ゲームの手順

以下の手順をプレイヤーごとに繰り返し、最初に10ポイント獲得したプレイヤーが勝者だ。

1. サイコロを振る
自分の番が来たら、まずサイコロを2個振る。（前に「ソルジャーカード」を使っても良い）
A. 「７」の目が出たら
　1.資源カードを8枚以上持っているプレイヤーはその半分（端数切り捨て）の枚数のカードを選んで捨てる。
　2.手番プレイヤーは、「盗賊」を好きな「土地」に動かす。
　3.手番プレイヤーは、好きなプレイヤーからランダムに資源カードを１枚、奪って自分のものにする。
B. 「7」以外の目が出たら
同じ数の「土地」に隣接する「家」「街」
2. 開拓／トレードを行なう。
トレード→開拓→トレードの順

初期配置は超重要！

　プレイヤーの順番をサイコロを振って決めたら、各プレイヤーは最初に「家」と「道」を２つずつ配置する。まず順番に「家」と「道」を１つずつ配置し、２つ目は今度は逆の順番で配置してゆく。実は『カタン』ではこの初期配置が非常に大事なのだ！　というのも、いったん開拓されたポジションにはもはやほかのプレイヤーがつけいることはできない。有利な場所に開拓された「家」と、そうでないところの「家」の差は永遠に埋まらないのだ。

どこに配置すればよいのか？
　さて、ではいったいどこに「家」を配置するのがよいのだろうか？　ここでは、例として「解説書」に載っている最初の土地配置で考えてみることにした。まずはそれぞれのポジションから「資源」が産出する確率を数字で表してみた（「家」「街」が開拓できる場所―6角形の辺と辺が交わるところ―をポジションと呼ぶことにする）。まずは「土地」に印刷してある数字の下にある「点」の数を数えてほしい。これは「サイの目の出やすさ」＝「資源の産出しやすさ」を表しており（36分率）、数が多いほうが良い土地ということだ。図1を見てもらえば、有利なポジション、不利なポジションがひと目でわかるはずだ。

カタン必勝法1：「点」の数に気を付けろ！

　また、ゲームが展開するにつれ、今度は「家」を「街」にアップグレードする必要がある。図2は「木」「土」の、図3は「麦」「鉄」の合計を示した。ゲームが進むにつれ、必要な資源カードの種類もかわるので、それも考慮にいれるべきだろう。

カタン必勝法2：展開とともに必要な資源も変わる

3〜4番目のプレイヤーの場合
　すでに良い場所は取られているかもしれないのが、この順番のプレイヤー。そこでちょっと発想を変えてみよう。それは「港」を利用する方法だ。効率良く貿易できる「2:1港」を手に入れることができるなら、その港の資源カードさえあれば、貿易で足りない種類の資源カードを手に入れることも可能だ。

カタン必勝法3：選ぶ順番でも戦略は違う。

　もうひとつ発想の転換を。「7」の目を出したり、ソルジャーのカードを出したプレイヤーは盗賊を好きな土地に移動させることができるわけだが、君ならどこへ置く？　1.ほかのプレイヤーが嫌がる土地で、2.目が出やすいところ。必然、「6」と「8」の土地に置かれやすいというわけだ。ということは、「6」と「8」の次にサイの目が出やすい「5」「9」の土地をねらってもよいかもしれない。

カタン必勝法4：「6」と「8」の「土地」には盗賊が出やすい？

　以上のことを考慮しつつベストのポジションを見つけて「家」と「道」を配置しよう！　ちなみに8月に行なわれた日本大会では、配置は1分間という時間制限で行なわれていた。やりこんだプレイヤーならこれくらいで十分ということだ。

ゲーム開始―序盤、ポジションを固めろ！

　最初にするべきは自分のポジションを固めることだ。何度も言うように、このゲームでは、一度開拓したポジションは永遠にそのプレイヤーのものなので、そのポジションに最初に入ることが重要である。そのためには、次にどのポジションをめざすかはっきり決めることである。

カタン必勝法5：無駄な開拓はしない

　無駄な投資はしないこと。先に述べたような、価値の高いポイントをねらって「開拓」をしないと、資源のムダ遣いだ。限られた資源カードをどううまく使うかがキモのこのゲームでは、ムダな「開拓」は禁物。はっきり目的を持って開拓を進めるべし。どの資源を目指すのか、「港」を抑えるのか、はたまた「ロンゲストロード」賞をめざすのか、早く決めよう。
　前後してしまうが、最初に配置する2つの「道」の置き方から勝負は始まっている。せっかく無条件で置ける「道」だ、有効に使うようにしよう。
　「道」を伸ばす上で気を付けたいのが、「道」と「道」の間。うっかりほかのプレイヤーに「家」を建てられてしまうと、自分で建てられないうえ、「ロンゲストロード」の権利も失ってしまう。できれば、ほかのプレイヤーよりも先に「家」を開拓して、がっちり確保したいところではある。

ゲーム中盤―ギヤを切り替えろ！

必要な資源が切り替わる
　何まわりかすると、どのプレイヤーもいくつか「家」をつくり「道」もだいぶ延び、勝利ポイントも5点前後獲得しているプレイヤーがでているはずだ。ゲームも中盤にさしかかってきたことになる。さすがに立地の良い場所もそう残っていないはず。必然、「家」から「街」へとアップグレードすることになる。つまり、いままで必要なかった、「麦」「鉄」の需要が高まるのだ。ここから、資源の価値も大きく変わることになる。それとともに当然土地の価値も変わる（前ページ図2、3を参照）。

カタン必勝法6-1：「初期配置よりよい土地はない」

　最初に「家」を置いた場所はいちばん条件の良い土地のはず。

カタン必勝法6-2：「中盤からは「鉄」「麦」が重要」

　先に述べたとおり、アップグレードに必要なのはこの2種類の資源である。この2つを潤沢にしておきたい。
　この2つの必勝法を頭に入れてアップグレードしよう。

ライバルの様子に気を配れ
　そろそろほかのプレイヤーの様子も気にかける必要が出てくる。「ロンゲストロード」「ラージェストアーミー」の2つの「賞」はそれぞれ1人のプレイヤーにしか与えられない。これらの「賞」をねらうなら、中盤からねらっていかないと獲得は難しい。
「木」「土」が豊富で、「麦」「鉄」が望めないポジションにあるプレイヤーなら、ここで「ロンゲストロード」にねらいを定めるべきだろう。

カタン必勝法7：「賞」をねらうなら、中盤が最後のチャンス

　また、自分のポジションが不安定だと感じたなら、「チャンスカード」作戦（右参照）に切り替えるのもありだ。

カタン必勝法８：チャンスカードに何が残っているか注意

終盤―ラストスパート！

　すでに勝利ポイントが7点前後に達したプレイヤーが出始める終盤になると、もはや選択肢も限られてくる。チャンスカードを手元に何枚か持っているプレイヤーがいれば、その中の何枚かはに「1ポイントカード」かもしれないのだ。

カタン必勝法９：誰が何点獲得しているのか気を付けろ

　伏せた状態のチャンスカード以外はどのプレイヤーが何点獲得しているか計算できるはずだ。自分より多くのポイントを上げているプレイヤーには、もう絶対負けられない。
　まだ手元に持っている「ソルジャーカード」があるなら、徹底的にトップをたたけ。

カタン必勝法10：チャンスカードに何が残っているか注意

　すでに使われたチャンスカードの枚数をチェックしよう。まだ自分に有益なカードが残っているようなら、まだチャンスカードを引きにいってもよいかもしれない。
　やはり終盤では速効性のあるカードが必要。「ソルジャーカード」以外のカードの残り枚数に注意しよう。

「賞」を獲得するチャンスは残っているか？

　終盤で「賞」を奪いにいくには度胸が必要。せいぜい1〜2プレイで逆転可能な場合にのみ奪いにいくべきだろう。逆にすでに「賞」を得ているなら、2位のプレイヤーとの差に気を付けろ。

最後に笑うのは？
　あとはサイの目しだい（笑）。手に汗にぎるラスト数ターンを楽しもう。トップに大きく差をあけられたプレイヤーも、トップたたきに協力するのがボードゲームの作法。みんなで盛り上げたい。
　『カタン』は1プレイ、1時間くらいで終わるので、週末などを利用して2〜3回はやれるのが長所だ。初心者でも1回プレイすればだいたいコツが飲みこめるだろうから、最初に練習ラウンドを1回やり、次に真剣勝負にしてもよいだろう。
　待望の『カタン』日本語版、大勢に広めてボードゲームの道に引きこんじゃおう。

まとめ

「地道な投資と瞬時の閃きがカタンだ」

　運の要素も多いと言われる『カタン』だが、おうおうにして地道なプレイングの積み重ねが運を引き寄せるものだ。ムダのない効率的な開拓とトレードをしていけば、運はあなたに味方するに違いないだろう。
　また、ここまで、いろいろなことを述べてきたが、それらはあくまで基本。途中の展開しだいで、思いきった作戦の変更もあるだろう。
　ボードゲームでは、確固とした戦略を早めに見つけ、かつ変化の風を感じ取れるプレイヤーが強いのだ。

資源はどんな割合で出るの？

これは「解説書」に載っている最初の土地配置における確率を表にしてみたもの。おわかりのように「麦」が多く、「土」「鉄」が少ない。その土地のまわりにどれだけ「家」や「街」が建っているかによって、供給のバランスはいっきに変わるが、いちおう頭に入れておいたほうがよい。数字チップをランダムに使ってゲームを遊ぶ場合は、資源の産出も偏る場合があるだろう。それをうまく利用できるようになれば、あなたも一流の『カタン』プレイヤーだ。

図1

数字は周囲の「土地」に印刷されている「点」の合計。多いほど「資源カード」が手に入りやすい。[ゾーンA]　12点の場所が３つ並ぶこのゾーンは空いていれば押さえるべき。[ゾーンB]　ここは資源の出る確率が低い場所だ。こんな場所を開拓するのは？

図2

序盤の開拓はやはり「道」「家」がメイン。ここで良く使用される「土」と「木」に限って数字を出してみた。全体にまんべんなく産出するようにも見えるが、まったく産出しないゾーンがあることに注意。

図3

こんどは「街」を開拓するのに必要な、「麦」「鉄」の数字。ゾーンCが「8」と際立っている。ここに「街」があれば、かなりおいしそうである。とはいえ、「4」「5」の地点も全体に広がっているので、それらを複数抑えて開拓するのもありだ。

港について
3:1 港
この港はどの資源カードでも同じものが3枚そろえば、好きな資源カード1枚と貿易できる。「交換」は4:1 なので、それよりはちょっと割安だが、それほど有利なポジションというわけではない。
2:1 港
この港はかなり好比率で貿易できるのだが、それぞれに決まった資源カードしか使えない。ゲームの進行に応じて変化する資源カードの価値を良く考えて、どの港を目指すか決めるべきである。

トレードを活かして資源カードを回せ！

3種類のトレードをうまく使おう！
　トレードには3つの種類がある。同じカード4枚を集めて山札と交換する「交換」。「港」を使って「3:1」あるいは「2:1」で行なう「貿易」。ほかのプレイヤーと行なう「交渉」である。
　トップを走っているプレイヤーとの「交渉」は疑問である。『カタン』では一発逆転はなかなか起こりにくい。いったんリードされてしまうと、なかなか挽回できないのだ。トップのプレイヤーをこれ以上走らせてはならない。
　また、それぞれの「資源カード」の流通量に気をつけよう。当然、大量に産出した資源はみんな手放しやすいし、逆にあまり産出していない資源は、交換に応じてくれないものだ。
　ここで重要になるのが「港」だ。あまり気味の資源カードを安く「交渉」で手に入れ、「港」で本当に欲しい資源を「貿易」する。「港」がなければ「交換」だ。「4:1」と割り高だが、手札を余らせて「バースト」するよりはましだろう。

2位ねらいのプレイングは是か非か？
　このゲームでもそうなのだが、勝者の決まりはあっても、「2位」「3位」のことは決められていない。そういった場合のゲーム全般のプレイングで頭に置いてほしいのだが、「2位ねらいはしない」ということだ。トップを走るプレイヤー以外のプレイヤー全員が、トップを攻撃しないとゲームがうまく盛りあがらない仕組みになっているゲームも多い。ここは逆転を信じてトップをねらうべし。

チャンスカード大作戦

3枚の資源カードを使ってゲットすることができるのがチャンスカード。さてこのチャンスカード、得なのだろうか？　それとも？　全25枚を検討してみた。

ソルジャー（14枚）
（資源カード1枚＋盗賊）
微妙。カードの枚数的には−2だが、盗賊を自分に関連する「土地」から取り除くことができる。

街道（2枚）
（道2つ）
「道」を2つ敷くことができるので、資源カード4枚に相当する。これはお得だろう。

収穫（2枚）
（好きな資源カード2枚）
枚数的には−1減だが、次のターンからいつでも好きなカードを好きな組み合わせで2枚引ける。

独占（2枚）
（3〜4枚期待？）
使うタイミングにもよるだろうが、無難なところで3枚から4枚は資源カードが手に入るのではなかろうか？

得点カード（5枚）
（1ポイント）
それぞれモニュメントの名前がついている。問答無用に勝利ポイントが手に入る。絶対お得。

「ソルジャー」はカード枚数的に−2なのだが、『カタン』では数少ない、相手プレイヤーを妨害する手段であること。そしてうまく行けば「ラージェストアーミー」の2ポイントも期待できるとすれば、けっして損はないだろう。というわけで、積極的にチャンスカードをゲットするのも十分検討に値する作戦と見た。「ラージェストアーミー」は必ず抑えておきたいところである。

「土地」の組み合わせを変えてみよう！
　何回か『カタン』を楽しむと、しだいに慣れてきて展開も単調に感じられるかもしれない。
　そんなときは今度は「土地」を裏返したり、「数字チップ」を使って、何種類もの違ったカタン島を楽しむことができる。
　数字チップはランダムに配置するもよし、アルファベット順に配置するもよしだ（アルファベットの使い方は解説書に紹介されている）。
　ちなみに原作では、それぞれの土地は1つ1つバラバラになっていて、より地形に変化が出るようになっている。
　どちらかというと数字チップはランダムに配置したほうがエキサイトできるような気がするんだけどどうかな？
　もちろん数字チップにも「点」（もう意味はわかってるはずだね？）が印刷されているので攻略法は同じだ。